更年期女性の血圧急上昇は病気ではない

血圧に関する最新情報

血圧に関する最新情報 更年期女性の血圧急上昇は病気ではない

男性と女性では適正な血圧の値も異なる

性と女性では、体の構造や機能に違いがあります。かかりやすい病気も遠いますし、治療法も異なるべきです。しかしながら、日本の従来の医療・保健導は、ほとんどが男性における治験・健診のデータをもとに、なされてきました。

例えば、高血圧の治療ガイドにしてもライン(指針)には、至適血圧は120mmHGと書いてあります。 しかし、これは若い男性にとっての数値であり、閉経前の女性の血圧は110mmHGを下回るくらいが適正です。120mmHGもあったら、その年齢の女性としては高いといえます。

そうした現状に対し、「これではいけない」と危機感を感じる医師は多いはずです。男性と女性の健康に大きな違違いをもたらしているのは、性ホルモンです。女性の場合は、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが、体をあらゆる病気から守っています。しかし、40歳を超えるころから、卵巣の拳えとともに、女性ホルモンが急激に減少していきます。そして、エストロゲンの分泌がゼロになり、排卵がなくなって閉経を迎えるころになると、女性ホルモンの欠落によってさぜざまな症状が現れます。これがいわゆる更年期症状です。

ちなみに、男性の場合、男性ホルモンのアンドロゲンは、70歳くらいまで減少することはありません。そのため、男性は女性のような更年期症状に悩むことが少ないのです。女性ホルモンの低下や欠落は、内臓をコントロールする自律神経にも影響します。 卵巣機能が衰えると、ホルモン分泌をつかさどる、脳の祝床下部が命令しても、女性ホルモンは出なくなります。視床下部の性ホルモン中枢が異常をとらえると同時に、隣の自律神経中枢も混乱するのです。

女性ホルモンは、そのほかの脳機能もコントロールしています。そのため更年期には、心身にさまざまな症状が生じます。のぼせ、ほてり、発汗、冷え、動悸、不眠、憂うつ感、イライラ、思考力の低下、めまい、耳鳴りなど、個人差はあるものの、多岐にわたる症状を抱ゝえることになるのです。

降圧剤を使った治療は最終手段にする

女性の更年期には、血圧の変動も大きくなります。女性の血圧は、エストロゲンの血管拡張作用によって、男性よりも低めに保たれています。ところが、更年期になると、エストロゲンの欠落とともに血管が拡張しにくくなり、加えて自律神経も乱れるため、血圧が上がりやすくなるのです。

でも、この場合、原因となる病気があって血圧が上がっているわけではありません。女性の体のサイクルを考えれば、血圧が上がっても、すぐに降圧剤を飲む必要はないのです。

更年期の女性患者さんに多いのが、血圧が突然200mmHG近くまで急上昇するケースです。こういった場合は「腹式呼吸をして、30分ほど休んでみて。それでも下がらなかったら、医療機関を受診するように」といいます。それで再度電話をかけてきた方は、1人もいません。しかし、その患者さんが、女性の血圧変動を知らない医師にかかりたら、どうなるでしょう? 降圧剤を処方され、血圧が下がりすぎてふらふらになったり、血行不良による体調不良を抱え込んだりすることになります。

このように、更年期の女性の血圧上昇は、男性の高血圧とは異なるので、すぐに薬で治療するのは問違いです。では、どのような治療が適しているのでしょうか?

更年期高血圧の治療は、腎臓の病気などがないか調べた上で、血圧の変動をコントロールすることがメインとなります。生活指導やホルモン補充療法、漢方薬などを順次適用していきます。

降圧剤による薬物療法は、最蜂手段です。更年期女性の高血圧に対する治療でいちばん重要なのは、生活指導です。更年期の患者さんの多くは、ホルモンバランスが不安定になっていることに加え、子供の自立、親の介護、夫の定年退職など、環境が激変する中で、自律神経の失調状態が起こっているケースが少なくありません。

実際、高血圧に関するの悩みを聞くだけで、高血圧の症状が緩和されることが多いのです。そして、生活の中の問題点を見つけながら、減塩、減量、運動、節酒、禁煙などの生活導をしていきます。これで改善しなければ、エストロゲンの欠落を補うために、ホルモン補充療法の治療が必要です。また、漢方薬が功を奏することもあります。

更年期には、生命エネルギーである「気」の逆流が起こりやすくなります。逆がもたらす症状は、冷え、のぼせ、、動悸などのほか、急な血圧の上昇もあります。気道を改善する加味逍遙散などの漢方薬で気を落ち着かせると、血圧が下がるのです。こうした一連の治療を行っても血圧が下がらなければ、最後に薬物療法を行います。

以上のように、更年期女性の高血圧は、体の変化をよく見きわめたうえで治療をすべきです。すぐに曇法を開始する必要はありません。これから寒くなりますが、体を温めることも、更年期症状の緩和に重要です。このことも念頭に置いて、生活をするといいでしょう。

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