血圧を下げるための特効療法
血圧を下げるための習慣として「特効療法」と呼ばれる方法も試してみる価値はあるかもしれません。時間がかかっても少しずつ意識して改善することで血圧が下がるきっかけになる場合もあります。
血行を促し血圧を下げる“ふくらはぎマッサージ”
血管を拡張するホルモンの分泌が増加
高血圧の予防と改善に、大いに活用できるのが、ふくらはぎマッサージです。ふくらはぎマッサージを考案先生は、ふくらはぎを「第2の心臓」と位置づけていました。それほどに、血流に関係が深い部分だということです。
なぜ、ふくらはぎをマッサージすると、血圧が下がるのでしょうか。まず、その理由です。体内の血液は、その約70%が、下半身に集中しています。心臓から送りだされた血液は、静脈を通って心臓に戻りますが、足は心臓より下にあるため、血液は重力に逆らって戻らなくてはなりません。
このとき、重要な働きをするのが、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉が収縮すると、静脈が圧迫され、血液がしぼり出されるようにして、上に向かって送られます。この、筋肉の「ポンプ作用」により、足の血液が心臓へと送り返されるのです。
しかし、ふくらはぎの筋肉がかたい人や、筋肉量が少ない人、また、足が冷えている人な どは、このポンプ作用が弱く、静脈の血流が悪くなりがちです。
ふくらはぎマッサージを行うと、ポンプの働きが助けられ、足に滞りがちな静脈血をスムーズに心臓に送り返すことができます。これにより、全身の血行がよくなり、その場で血圧が下がるのです。
また、心臓へ戻る血液量がふえると、「心房性ナトリウム利尿ペプチド」という、心房 から出るホルモンが、より多く分泌されます。このホルモンは、利尿作用をもたらすものですが、同時 に、血管を拡張し、血圧を下げる働きもあるのです。
さらに、マッサージ効果で血行が改善すると、足の冷えが取れ、体がポカポカと温まり、気持ちがリラックスしてきます。それにより、交感神経の過度の緊張が解け、自律神経が整えられるのです。
これも、血圧を降下させるのに役立ちます。 ふくらはぎマッサージは、こうししたいくつもの観点から、血圧降下に有効といえるのです。
血圧が正常化しむくみも解消した
このふくらはぎマッサージで、高血圧が改善した人の体験段ですまずは、50代女性の例です。最初、最大血圧が212mmHG、最小血圧が110mmHGもありましたが、薬に頼りたくないと、降圧剤は服用していませんでした。このかたは足のむくみもあったので、食事の改善と、ふくらはぎマッサージを重点的に行いました。
すると、血行が改善し、むくみが解消。2ヶ月後には、最大血圧が150mmHG、最小血圧が100mmHGまで下がったのです。さらにその1年後には、最大血圧が120mmHG、最小血圧が60mmHGに下がり、安定するようになりました。
次に、70代の女性の例。このかたは降圧剤を飲んでいましたが、それでも最大血圧が170mmHG、最小血圧が100mmHG程度でした。そこで、ふくらはぎマッサージを行ったところ、3ヶ月で、最大血圧が130mmHG、最小血圧が80mmHGに下がったのです。
また、別の50代の女性も、降圧剤に効果を感じられず、自己判断で服用をやめてしまっていました。しかし、ふくらはぎマッサージを始めて1ヶ月で、180mmHGあった最大血圧が、150mmHGまで下がったのです。
このかたは、自律神経が整えられたためか、以前より笑顔がふえたことが印象的でした。ふくらはぎマッサージは即効性があるのが利点です。継続すれば、安定した効果を得ることができます。毎日続けるのが大切です
ふくらはぎマッサージのやり方
末端から血液の循環を促すため、ふくらはぎだけでなく、足指や足首をほゃすところから始めます。毎日継続して行うことが大切です。
- 足の指もみ…足の指を1本ずつもみほやす。
- 足首回し…グルグルと、十分に回す。
- ふくらはぎもみ…血流を促すイメージで、しっかりともむ。
3~5 分かけて、気持ちよく感じる程度の強さでマッサージする。「おふろで湯ぶねにつかっている間」などと決めて行うのもよい。できれば、1日3 回、朝・昼・晩に行うと、より効果的。