躁うつ病について。
うつ状態と躁状態が交互にあらわれる操うつ病(双極性障害)
日本はうつ状態だけの人が圧倒的に多い
躁うつについては知識だけ知っておけばいいでしょう
操状蕃とうつ状態が交互に出る人も
うつ病の分類の項で、「内因性のうつ病」には、うつ状態だけのもの(単極性のうつ病)と、うつ状態と躁状態が交互にあらわれる操うつ病(双極性障害)とがあるということをみてきました。
しかし、躁うつ病については簡単にふれるにとどめています。というのは、わが国ではうつ状態だけのうつ病の人が圧倒的に多く、躁うつ病の人はあまり多くはないためです。
したがって、本書で「うつ病」というと、症状がうつ状態だけのものをさしています。
そうはいっても、ときとしてうつ病だけだった人が経過とともに躁状態があらわれ、結果として操うつ病だったというケースもあります。
そこで、ここでは嘩っつ病についても知っておくことが大切ですので、症状から治療までを、まとめてみていくことにします。
操うつ病の症状はどのようなものか
躁うつ病の症状にふれる前に、呼び方の問題がありますので、まずもう1度うつ病の分類についてみておきます。
ICD-10とDSW-Ⅳ-TRではうつ病の躁つ病も「気分障害」に分類されています。そして躁は「双極性感情障害」と呼ばれています。
ただし、わが国では従来から「操うつ病」という呼び万が一般的ですので、本サイトではこの名称に統一しています。躁うつ病は、うつ状態と躁状態の症状を繰り返すタイプのものです。
うつ状態のときの症状は、これまでみてきたうつ病の症状とほとんど同じです。
それでは、線状態のときの症状はどのようなものでしょうか。主な症状は次のようなものです。
- 気分が高揚して、陽気になる
- 口調が軽快になる
- 活動的になり、ほとんど眠らずにものごとに熱中する
- 多弁で早口になる
- 話の内容が、全体としてまとまりがない
- 次々にアイディアがわいてくるが、考えも次々に変わっていく
- 自分はえらいと思い込み、態度が尊大になる
- 感情が不安定で、ささいなことに泣いたり、怒ったり、感激してしまう
- 自分の気持ちが抑えられなくなる。このため攻撃的になり、暴力をふるったりする
- 自分勝手になる。他人の権利を平気で無視したり、社会の規範を破ったりする
- 血統や宗教にかかわるような妄想をいだく
このように、線状態というのは気分がかなり「ハイ」の状態です。症状が軽いうちは、行動的でやる気があるようにみえます。
しかし、この症状が強くなると、大騒ぎをしたり、できそうもないような大きなことを言ったり、さらには気が大きくなっていますから、とんでもないことをやってしまいます。
自分が能力のある人間だと思い込んでしまうので、周囲の人が無能に思え、態度もえらそうになります。部下をどなりつけたり、上司とけんかをしたり、とんでもなく大きな取引を勝手に決めたりしてしまいます。
気前がよくなって、高価なものを買ってしまったり、莫大な借金をしてしまうこともあります。
また、けんかも多くなります。まわりの人々の気持ちなどは一顧だにしませんから、人間関係もどんどん悪くなつていってしまいます。
しかも、こうした問題を起こしても、ほとんど自分が病気であることを自覚していませんから、始末に負えません。言ってみれば、自分の言動にまったくブレーキがきかない状態になってしまうのです。
このため、家族をはじめまわりの人は、完全に振り回され、疲れ果ててしまうことになります。
早期発見と早期治療が大事
発症の年齢は、比較的若い年齢層が多くなっています。
原因については、従来の「内因性のうっ病」の観点からいうと、原因はわかりませんが、環境やストレスなど外部からの影響がなく、体の内側から起こるとされています。
躁うつ病は躁状態とうつ状態が繰り返しあらわれるのですが、それらが同じような間隔であらわれるというものでもありません。どちらかといえば、うつ状態の期間のほうが長いといわれます。診断にあたっては、線状態で始まった人のケースでは、医師は躁うつ病の可能性を考えて、治療にあたることが一般的です。
というのも、心身ともに高揚した状態、つまり躁状態だけが長く続く「躁病」がありますが、わが国ではうつ病や操うつ病にくらべると、それほど患者数は多くはないからです。
これに対して、うつ状態から始まったケースでは、うつ病なのか、操うつ病なのかという判断はたいへんむずかしくなります。うつ病として治療を続けていた人が、だいぶ改善してきたと思われたとき、急に躁状態に変わることがあるのです。そのときになつてはじめて、躁うつ病であったというケースもありえるのです。
なお、操状態が似ているほかの病気としては、統合失調症や非定型精神病、甲状腺機能克進症などがあり、区別がむずかしく、医師は慎重に診断することになります。
躁うつ病の治療は、休養と薬が基本となります。患者の操状態があまりにも強すぎる場合には、医師が入院をすすめるケースも出てきます。入院させることで、十分に休養させることばかりでなく、患者に前述のようなトラブルを起こさせないようにすることができます。また、家族が振り回されて、疲れ果ててしまわないようにするためにも、入院は必要な措置といえます。
治療薬は、炭酸リチウム(商品名・リーマス)が中心となります。吐きけや下痢などの副作用はありますが、躁状態の治療にはたいへん効果があります。このほか、カルバマゼピン(商品名・テグレトールなど)やバルブロ酸ナトリウム(商品名・デパケンなど)など、てんかんの治療薬も使われます。
医師は、患者の症状をみながら、こうした薬を処方していきます。むずかしいのは、一方の症状からほかの症状に移る鮎絹…絹関門紬鵬盈の薬の処方にあたっては、医師は慎重に患者の状態をみながら判断していくことになります。
操うつ病は、きちんと薬物治療を行っていれば、一般的には数ヶ月で治ります。ただし、注意しなければならないのは、操うつ病はたいへん再発しやすいということです。再発予防には、炭酸リチウムを中心とした薬をかなり長い期間、飲み続けることが、最も効果的といわれています。これを維持療法と呼んでいます。
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