うつ病のタイプ

従来は原因によって、「内因性」「心因性」「身体困性(外因性)」に分類されてきましたが、最近は症状による分類も考慮されるようになりました。

原因から症状へ

原因から症状へと分類方法も変化しています

うつ病の原因はまだはっきりしていない

これまでは、うつ病がなぜ起こるかという点から、うつ病がどのような病気であるかをみてきました。

その説明の中で、うつ病の原因はまだはっきりとは解明されていないということと、きっかけや性格などの誘因があるということです。また、そのうちの1つだけが誘因となるのではなく、いくつかの要素がからみ合って、うつ病を引き起こすという点も大事なポイントです。

最近はこうした考え方が一般的になつてきています。しかし、少し前まではうつ病を発症させる「原因」によって分類をしていました。

その考え方によると、うつ病は「内因性のうつ病」「心因性のうつ病」「身体因性(外因性) のうつ病」の3つのタイプに分けられていました。

こうした分類の仕方は、いまでも使われないわけではありません。また、うつ病を理解するうえで必要なこともありますので、ここではまず、その分類がどのようなものであるかをみていきます。

内因性、心因性、そして身体因性による3つのタイプ

うつ病発症に原因がはっきりとしないものを「内因性のうつ病」と呼び、これが典型的なうつ病とされていました。環境やストレスなど外部からの影響がなく、体の内側から起こると考えられるうつ病をさします。

内因性のうつ病には、うつ状態だけのもの(単極性のうつ病)と、うつ状態と躁状態が交互にあらわれる躁うつ病(双極性障害)とがあります。

これに対して、家族との離別、失恋、あるいは人間関係によるストレスや精神的ショックなどがきっかけとなって引き起こされるものを「心因性のうつ病」といいます。

内因性」のものか、「心因性」のものかというように、どちらが原因かという考え方は、一見わかりやすいように思えます。

しかし、現実には簡単にどちらか一方に決めるというわけにはいかなくなってきました。このように「原因」で分けてしまうと、いろいろと不都合なことが起こってきたのです。

たとえば、内因性のうつ病と診断された患者でも、よく調べてみると、その発症にあたってはきっかけがあったことがわかったりするのです。

これでは心因性と内因性とに分けても、あまり意味がないことになってしまいます。つまり、この2つの境界線がわからなくなってしまったのです。体の中にある素因も、外部から影響する誘因も、それぞれ1つだけで引き起こすわけではないということです。

こうした考え方を経て、現在ではうつ病発症にはさまざまな要因がからんでいるとの考え方が一般的になってきました。

なお、原因という観点からは、もうひとつのタイプがあります。先ほど、うつ病を引き起こすものに、ほかの病気を治すための薬、脳や体の病気、アルコールなどをあげました。これら、原因がはっきりしているものについては、「身体因性(外因性)」のうつ病と呼んでいます。

最近は症状から分類する

原因で分類する従来の考え方には不都合が生じるため、それに変わって、いまでは症状から分けることが一般的になってきました。

言うまでもなく、病気を分類して考えるということは、その診断には欠かせないものです。

最近、うつ病の診断にあたってよく参考にされるものに国際基準とも呼ばれるものがあります。

それには2つあり、1992年に出版されたWHO(世界保健機関) の「ICD-10(国際疾病分類・第10改訂版)」と、1994年出版のアメリカ精神医学会にょる「DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の分類と診断の手引・第4版改訂版)」です。どちらも、症状によって分類しているのが特徴です。

ICD-10では、体の病気を含めたすべての疾患を対象としていますが、精神疾患については「精神および行動の障害」に入っています。うつ病については、この中の「気分(感情)障害」という項に分類されています。またDSM-Ⅳ-TRでも、うつ病は「気分障害」の中に入れられています。

気分障害というのは、ほかの精神疾患、たとえば統合失調症や人格障害などと分けた分類です。

気分障害は、さらに躁の症状とうつの症状を繰り返す「双極性障害」(いわゆる躁うつ病) と、うつ症状だけのうつ病性障害」とに分けられています。

少し煩雑になりますが、そのうつ病性障害も、「大うつ病性障害」「気分変調性障害」「小うつ病性障害」に分けられます。

この分け方は、症状の程度の強さや、それが続く期間などをもとにしたものです。「大うつ病性障害」というのは、強いうつの症状のもので、従来の典型的なうつ病にあたると考えられています。大うつ病性障害は、その診断基準によれば、悲しみや空虚な感じ、興味や喜びがなくなるなど9つの症状のうち5つ以上の症状があり、それが2週間以上続くもの、とされています。

「気分変調性障害」というのは、大うつ病性障害にくらべて、それほど深刻ではない状態、つまり軽いうつ状態が2年以上続くものをさします。

以上、うつ病の分類について説明をしてきました。しかし、こうした分け方は、実際にはそれほどきれいに分類できるものでもありません。専門医でも判断がむずかしいケースもあります。それだけ、境界を見きわめるのはむずかしいのです。

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