ストレスとうつ病

ストレスと心の病気の関係性は深い

現代社会は複雑なストレス社会

それらの誘因には、どのようなものがあるでしょうか。

何でもストレスがいけない?

ストレスとストレッサー

ストレスという言葉自体は、もともとは物理学や化学の分野で使われていた「ひずみ」を意味する概念でした。それが医学や生物学の世界でも使われるようになり、今では精神的な分野で扱われることが多くなりました。

ですから、ここでいうストレスの意味は「心に受けた刺激によって起こる精神的緊張」、あるいは「外圧に抗して、体がもちこたえようとする防御反応」ということになります。

ただし、ストレスという言葉は厳密にいうと、「ストレス」と「ストレッサー」に分けられます

ストレッサーというのは、人体が外から受ける圧迫や刺激を意味します。先の説明に出てきた「外圧」がこれにあたります。

その種類としては、

  1. 音や熟、暑さや寒さ、病原菌などのような物理的なもの
  2. 空腹や痛み、熟などのような身体的なもの
  3. 怒り、悲しみ、困惑などのような心理的なもの
  4. 人間関係や仕事、経済的なことなど社会的なもの
などがあげられます。

一方、ストレスというのは、これらストレッサーによって体に生じた反応や変調をいいます。

このように、本来、ストレスとストレッサーという2二つの違いがあるのですが、一般的にはほぼ同義語として扱われることが多いようです。

したがって、ここからは、ストレスというと、この二つの意味をいっしょにした使い方をしていきます。ストレスの種類に関連して、ストレスを受ける期間の長さから、「急性のストレス」と「慢性のストレス」とに分けて説明されることがあります。

  1. 避けがたい急性のストレス…地震や土砂くずれなどの自然災害や、抵抗してもどうすることもできないような自然災害や人災など。
  2. ある程度は予測が可能な生活面での出来事によるストレス…入学試験、就職、出産、離別などは、いつかはやってくるだろうという出来事で、その時期もある程度、予測が可能です。
  3. 日々の暮らしの中におけるいらだち…家庭内の小さないざこざ、近所とのいさかい、職場での人間関係、仕事上の問題などがあげられます。

このように考えてみると、現代人の身の回りにはストレスのもとになるようなことがいくらでもあることに気づきます。現代人は、常にストレスにさらされているといえましょう。

ストレスに対する反応

それでは、ストレスを受けた場合、人はどのように反応するのでしょうか。「ストレス反応」ということを唱えたカナダの生理学者セリエは、体の反応について次のような3つの段階を考えました。

まず、最初にストレスにさらされたとき。ショックによって抵抗する力が少し落ちます。

次にこのストレスの状態が続くと、神経や内分泌、免疫系が働き、そのストレスに打ち勝とうとするため、通常よりも抵抗力が高まります。これを抵抗期と呼びます。

さらにストレスが長引くと、こうした抵抗力も疲弊して、精神的にも身体的にも追いつめられ、かなり悪い状態となり、病気になつてしまったり、最悪の場合には死に至ります。

前述のストレスの種類の中に、心理的、社会的ストレスというものがありましたが、これらに対する反応はどのようなものでしょうか。

心理的ストレスを受けることで、体に症状が出ることはよく知られています。動惇がする、血圧が上がる、息苦しい感じがする、冷や汗をかく、ふるえがくる、胃が痛い、下痢をするといった症状がみられます。

一方、精神面では、いらいらする、不安になる、怒る、落ち込むというような症状が出てきます。

通常、人の体の中では、ストレスで引き起こされる強い衝動や情動をやわらげようとする機能が自然に働きます。

しかし、ストレスが強くなればなるほど、その機能が働かなくなってしまい、反応が過剰になったり、ある方向にだけ突き進んでしまったりします。こうなると、問題が起こってくるわけです。

たとえば、ストレスを受けると動悸が激しくなり、不安でならなくなりますが、それが行きすぎた場合には、不安のあまり行動が起こせなくなります。また体の面では、いつまでも血圧が高いままだったり、胃酸の分泌が多すぎて胃潰瘍になってしまうなど、身体疾患が起こります。しかしながら、ストレスがまったくない状態がよいかというと、必ずしもそうではありません。ストレスや精神的な緊張がない状態は、かえってそれがストレスとなつてしまうといいますから、むずかしいものです。

人間は、むしろ適度なストレスがあったほうがよく能力を発揮するといわれています。

うつ病との関係でみると、ストレスによって一時的にうつ状態になっても、すぐに回復するならば正常な反応といえます。しかし、それが長期間にわたっていつまでも回復しない場合、うつ病の疑いが出てくることになります。

年代別の症状のところでも、ストレスという言葉が何回か出てきました。一生のうちには、大きな変化がいくつかあり、それがストレスとなつてうつ病になることが多いという事実があります。その意味では、ストレスはうつ病の発症に大きなかかわりがあると考えられます。

特に、あまりに強いストレスを受けると、考え方に柔軟性がなくなり、必要以上に問題を深刻に考えるようになって、うつ状態になります。そのような意味では、ストレスがうつ病を引き起こす誘因のひとつであることは十分に考えられるのです。

ストレスを考えるうえで重要になるのが、ストレスに対する反応が、人によって大きく異なるということです。

このことは、経験的にもよく知られていることです。同じストレスのはずなのに、ある人はそれをストレスと感じず、ある人はストレスを感じてひどく落ち込んでしまう。たとえば同じような仕事をしても、それをやりがいがあると発奮する人もいれば、大きな負担に感じて落ち込んでしまう人もいるのです。

抗うつ薬に頼りたくないならhttps://memo-note.com/kitosan/

ページの先頭へ