うつ病と性格

うつ病になりやすい性格がある

「執着気質」と「メランコリー親和型」の2つの性格

どちらかといえば2つは好ましい性格

マイナスに働き過ぎるとうつ病になってしまう

一般に、うつ病になりやすい性格があるといわれます。

これまでみてきたように、うつ病が発症するにはストレスや環境の変化、それに伴うきっかけがあるといわれます。

また、本人がおかれた状況をどう考えるか、またストレスをどのように受け止めるかについては個人差があります。

つまり同じ状況であっても、うつ病になる人とならない人がいるという違いはどこにあるのでしょうか。

個人差というと頭に浮かぶのが、性格です。そこで、よくいわれるのが、うつ病になりやすい性格というのがあるのではないかということです。

言うまでもなく、人はさまざまな性格を持っています。ざっとみても、明るいとか暗い、楽観的とか悲観的、大ざっぱとか几帳面というように。これらは、その人が持つ素質や育ってきた環境などが相まって形づくられています。

うつ病になりやすい性格としてよく紹介されるのが、わが国の精神科医の下田光造博士が唱えた「執着気質」と、ドイツの精神科医テレンバッハが唱えた「メランコリー親和型」性格です。

「執着気質」というのは、こり性で集中力があり、几帳面で、正義感や義務感、責任感が強いというような性格です。いわば優等生のタイプです。

ところが、こうした性格のせいで、仕事などものごとを頼まれると断ることができず、結果として何もかも1人でかかえ込んでしまい、ついにはにつちもさっちもいかなくなる傾向があります。また、あまりにもがんばりすぎて、疲れ果ててしまい、うつ病になりやすくなつてしまうといわれるのです。

この「執着気質」に比較的よく似ているのが「メランコリー親和型」性格です。まじめ、勤勉、きちょうめん、誠実、律儀、世話好き、気配りをする、そして秩序や決まりをきちんと守る、というような特徴があります。

これまた、けっして悪い性格ではありません。ところが、秩序を守ると同時に、人間関係や物事がきちんと秩序どおりになつていないと気がすみません。

ですから、その秩序が変わったり、くずれて新しい形に変わったり、物や人があるべきところからなくなったりすることに、たいへん敏感です。別な見方をすると、変化に弱い性格だということもできます。

このため、定年や転職、引っ越し、結婚、また親しい人との離別や死別はことのほかこたえ、その結果、うつ病になりやすいと説明されます。

ですから、昇進という、はた目からはおめでたいと思われることでも、本人にしてみれば責任が重くなることに加えて、これまでの人間関係が変わるために、うつ病になってしまうケースがあるのも、これまでにみてきたとおりです。

このタイプの人は、必要以上に他人に気をつかい、また自分の能力以上に頼まれ事を引き受けて、身動きがとれないような状況に自分を追い込んでしまうようなこともします。

これらがうつ病になりやすいといわれている性格です。

ただ、このことで、「うつ病は性格のせいだ」と思い込んでしまうのは早計です。それはまったくの誤解です。

また、「それなら、自分の性格を変えたい」などと思うのも無理な話です。言うまでもなく、性格というものはそう簡単に変えることなどはできないからです。

うつ病になりやすい性格とはいえ、これらはどちらかといえば、よい性格だということで、好感を持たれるのではないでしょうか。しかも、こうした性格は日本人には多くみられるタイプだといわれています。

言うまでもなく、これらの性格の人がすべてうつ病になるわけではありません。性格の影響については、あまり深刻に考える必要はありません。ただし、自分の性格を知っていることは大切です。知っていればこそ、がんばりすぎないとか、すべての問題を自分一人でかかえ込まないなど、いわば予防策を講じることができるからです。

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