血圧を下げるための鼻呼吸
血圧を下げるための習慣として「呼吸」も大切です。口での呼吸が習慣化している人は鼻呼吸に改善します。時間がかかっても少しずつ意識して改善します。
血圧を下げるための鼻呼吸口の体操「あいうべ」で鼻呼吸にすると血圧が正常化する
口呼吸では睡眠中もリラックスできないために熟睡できない
「高血圧の原因に呼吸が関係している」というと、意外に聞こえる人も多いかもしれません。しかし、高血圧は自律神経の乱れによって起こるケースが多々みられます。そして、自律神経の乱れを引き起こす具体的な行為は何かというと、ズバリ!「口呼吸」です。特に、睡眠中の口呼吸は、血圧の上昇に大きくかかわっています。
そのメカニズムです。 人間を含む哺乳類は、基本的に鼻で呼吸する生き物 です。鼻呼吸をしているとき、口の中は唾液で潤い、これがバリアとなつて、細菌の繁殖や炎症を防いでいるのです。
しかし、睡眠中は唾液の分泌がへるため、自然とバリアの力が弱くなります。それに加えて口呼吸になると、口の中はさらに乾燥するので、細菌が繁殖して炎症を引き起こしてしまうのです。
そのまま口呼吸を続けていると、炎症は慢性化してしまいます。口の中に炎症があると、体はリラックスすることができません。本来なら、睡眠中は自律神経経のうちリラックス に働く副交感神経が優位になり、血管の緊張が緩んで、血圧が下がります。ところが、睡眠中に口呼吸をしていると、いつまでも交感神経が緊張した状態が続き、血圧の上昇を促すのです。眠りの質も低下するので、日中には眠気や倦怠感も起こってきます。
朝起きると、のどが乾燥していてヒリヒリする人、口の中が粘ついている人、イビキをかく人は、睡眠中に口呼吸をしている可能性大です。このような症状があり、なおかつ血圧が高い人は」睡眠中の口呼吸が高血圧を引き起こしていると考え られるのです。さらに、睡眠中の口呼吸は、中高年の突然死の一因とされる「睡眠時無呼吸症候群」をも引き起こします。
これは、口が開いていると自然に舌が下がり、のどが狭くなるために起こります。睡眠時無呼吸症候群もまた、眠りの質を低下させ、自律神経を乱して血圧を上げるという悪循環を招くのです。
うるさい大きなイビキと無呼吸には注意 「睡眠時無呼吸症候群」
舌の筋肉を鍛えて口呼吸を鼻呼吸へ
とはいえ、睡眠中の口呼吸は意識が働かない状態でやっているだけに自分でコントロールすることはできません。では、どうすればよいのでしょうか。
そもそも、口呼吸になる原因は、舌の位置のズレにあります。理想的な舌の位置は、口を軽く閉じたとき、舌が少し引きぎみになり、舌の表面全体が上あごにべったりとついている状態です。舌がこの位置におさまっていれば、口は開かないので自然に鼻呼吸になります。口呼吸が癖になつている人は、舌を支える舌筋の力が衰えているため、舌を上あごまで持ち上げることができなくなっているのです。
口を閉じた状態が維持できないということは、口を開閉する口輪筋や咀嚼筋の力も低下していると考えられます。 つまり、口呼吸を改善するには、口や舌の筋肉を鍛えればよいのです。そこでお勧めするのが、口の体操「あいうべ」です。やり方は、次のとりです。
- 「あー」と口を大きく開く
- 「いー」と口を横に大きく開く
- 「うー」と口を強く前に突き出す
- 「べー」と舌を前に突き出す
1~4を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けてみてください。いつやってもかまいませんが、入浴時など、湿度の高い状態でやるのがお勧めです。
大切なことは、舌の筋肉を鍛える意識を持ってやることです。
声を出すと、のど周辺の筋肉
も鍛えられます。誤嚥を起こしやすい人、脳卒中の後遺症などで麻痺がある人は、発声しながら行うと、なお効果的です。
大切なことは、舌の筋肉を鍛える意識を持ってやることです。 声を出すと、のど周辺の筋肉 も鍛えられます。誤嚥を起こしやすい人、脳卒中の後遺症などで麻痺がある人は、発声しながら行うと、なお効果的です。