血圧を下げるための運動

血圧をさげるために重要な食事とそして同じように大切な運動です。ただし血圧が高い場合には激しい運動よりは心拍があまりあがらない「ウォーキング」などがより効果的です。

自宅でできる運動で血圧が平均8mmHG降下

生活習慣病である高血圧は、適切な運動を行うことで予防改善できることが最近の研究でわかってきました。そのため、特に中等以下の高血圧患者には重症化する前に運動療法などで適切な治療を行うことが必要です。しかし、運動習慣のないお年寄りがいきなり室外で運動することは逆効果のこともありますし、仕事が忙しい人などは時間を確保することも難しくなります。 実際に参加してもらったのは65歳以上の男女700人です。参加者のうち、高血圧に該当する人は最大血圧140mmHG以上の人が182人、最小血圧90mmHG以上の人が71人でした。

また、全体の7割以上の人が高血圧に限らず、なんらかの薬を服用していました。行ってもらうのはステップ台(踏み台)の昇り降りるをゆっくり繰り返す「スローステップ運動」です。実は以前に「NHKのためしてガッテン」でスローステップ運動が紹介されているので知っている人もたくさんいらっしゃるかもしれません。

また、ゆっくりやるので体への負担も少なく安心してできます。運動習慣のない人にもいいでしょう。参加者には1回につき10分のスローステップ運動を2回、3ヶ月継続してもらいました。 その結果を平均値で見ると、最大血圧140mmHG以上の群は157mmHGから149mmHGに最小血圧90mmHG以上の群は、95mmHGから90mmHGに下がりました。これはスローステップ運動が高血圧の改善に有効だったと証明できたといえます。

早い人では6週間から効果が出る

では、スローステップ運動のやり方です。用意するのは、高さ15~20cmのステップ台(持み台)だけです。安定のいい専用のステップ台が推奨されますが、ない場合は階段のいちばん下の段でもいいでしょう。缶ビールの空き箱(段ボール頼) を利用する場合は、箱がへこまないように、電話帳や新聞紙をしっかり詰めて、布製ガムテープで4隅を補強するといいでしょう。台が用意できたら、スローステップ運動を実際に始めます。

  1. まっすぐ立った姿勢から右足から台に乗せる。
  2. 左足も台に乗せて、両ひざを伸ばす。
  3. 右足を台から降ろす。
  4. 足も台から降ろして、まっすぐに立つ。

1~4を鼻歌が歌える程度のペースで、ゆっくり返します。時間は1回10分を目安に、1日2回行います。ある程度行ったら最初に台に乗せる足を右足から左足に替えますが、意識すると足が止まってしまうので、慣れるまでは右足から乗せ続けてもかまいません。

また、1回10分がきついようなら、5分を1日4回やっても大丈夫です。回数を分けても、効果はあります。体力に自信のない人は、机やいすにつかまりながら行いましょう。また、足が上がり乃にくいようでしたら、その場で足踏みをすることから 始めてください。この運動で、重要なのは運動強度です。息ができないほどの苦しい運動では、血圧を下げるどころか、反対に上昇させてしまいます。

降圧効果が得られるのは、息がはずむけど、鼻歌が歌える程度の運動強度です。運動強度は、心拍数を測定しなくても自分で測る「主観的運動強度」というものがあります。 これは、運動強度を6から20の15段階に数値化したもので、「楽」と思う運動は1、「ややきつい」と感じたら13。「楽ではないけれど、きつくもない」なら12です。この数字に10を掛けると、だいたいの心拍数になるといわれています。

皆さんは、この1~3の範囲を意識して、スローステップ運動を行うのがポイントです。慣れるにしたがい、ついつい運動強度が上がってしまわないように注意が必要です。

くれぐれも、やりすぎないこと。続けるコツは、毎日決まった時間に血圧を測り、それをグラフ化することです。効果が視覚的にも一目瞭然になり、モチベーションが高まります。 早い人では6習慣で効果が現れますが、効果が出にくい人もいますから、まずは、3ヶ月を目標に始めるといいでしょう。

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