血圧を下げるための運動

血圧をさげるために重要な食事とそして同じように大切な運動です。ただし血圧が高い場合には激しい運動よりは心拍があまりあがらない「ウォーキング」などがより効果的です。

心拍数の上がる連動で血液がサラサラになる

高血圧の予防・改善のため、日常的に大切な事項がいくつかあります。

  1. 運動を心がける
  2. 塩分を控える
  3. 6時間の睡眠
  4. ストレスをためないようにする

ここでは、特に運動方法を絞ります。特にお勧めるのは「緩急ウォーク」です。緩急ウォークとは、スタスタ歩く遠歩きと、ゆっくりした歩き方を交互に行うウォーキングです。 早歩きは、脈拍が1分問に110~120回くらいまで上がる速度です。この緩急ウォークを1日30分以上、週に5日以上行うと効果的です。なぜ、緩急ウォークが血圧に効果を現すのでしょうか。

キーワードとなるのは「NO」(一酸化窒素)です。血管は、内側から、「内膜」、「中膜」「外膜」の3つの層からなっています。内膜は、血管内皮細胞というタイルのような細胞で覆われています。筋細胞という筋肉があり、血管の収縮・拡大を行っています。NOが中膜に浸透すると、血管が拡張するので、血圧が下がるのです。

NO(一酸化窒素)についてはこちらです。

さらに運動を継続して行うことで、NOが頻繁に分泌されて中膜に浸透し続けると、平滑筋細胞の肥大を防ぐ効果も得られます。 つまり、動脈硬化を抑制する働きも期待できるのです。NOが作用するのは、血管に対してだけではありません。NOが血管内膜から分泌されて血液中に混ぎると、血液がサラサラなることもわかっています。

つまり心拍数の上がる運動をするとを行うと、血管が拡張して動脈硬化を防ぐことができ、血液もサラサラになるのです。運動強度が高いほど、血流の勢いとずり応力が増し、NOの分泌量もふえます。それでは、緩急ウォークより長時間の早歩きやウォーキングのほうがいいかというと、そうともいえません。

動脈硬化が進行している人の場合、激しい運動をして血流量がふえると、血管の内壁にこびりついている血栓(血の塊)がはがれて流れ、心臓の血管に詰まって心筋梗塞などが起こる危険があるためです。急にジョギングを始めた人が心停止を起こすのは、このケースです。こうした点からも、安全な運動として勧められるのが、緩急ウォークなのです。

冬はしっかり防寒してゆっくり歩きからはじめる

ちなみに、ウォーキングを早朝に実行する方が多いと思いますが、これからの寒い季節は、注意が必要です。血圧は、「寒い」と感じただけで、すぐに反応して上昇します。それに加えて、歩き始めには血圧が上がるので、血圧が急上昇する心配があるのです。 ですから、時問に余裕のある人は、昼食後2時問ほどたった午後3時から午後5時ごろに、緩急ウォークを行うといいでしょう。この時間帯は、1日のうちで最も血圧が安定している時間帯です。

寒い季節には、10分の早歩きからではなく、5分のゆっくり歩きから始めてください。ゆっくり歩き始めることで、血管内皮細胞から少しずつNOが出てきます。それが血管を徐々に拡張させてくれますから、次の早歩きへ安全に移行することができるでしょう。

最初5分のゆっくり歩き、10分速歩き、5分のゆっくり歩き、10分速歩き。これで、総計30分の緩い急ウォークになります。特に高齢のかた、高血圧の方には、このようなパターンの歩き方が勧められます。 ウォーキングの途中で体に異常を感じたら、ただちにウォーキングを中止しましょう。

いつもと違う息苦しさ、脱力感、ふらつき、歩いていると道の片側へ寄ってしまうといった症状です。脳卒中などの予兆の場合もあるので、こうした症状が現れたら、ウォーキングを中断し、すぐに受診します。

緩急ウォークの30分間が取れないというかたは、朝15分、夜15分に分けて行ってもいいでしょう。この場合も、10分速歩き、5分ゆっくり歩きです。心拍数をふやし、ずり応力を高めるのが目的ですから、のんびり15分歩いても意味がありません。

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