骨盤若返りヨガでくしゃみ、咳による尿漏れを改善する

尿道を締める筋力が衰えてくることが原因

尿もれで悩んでいる人はとても多く、日本では中高年女性の約3割、最近は20代でも悩む人が増えているといわれています。尿もれは、命にかかわる病気ではありません。しかし、それが続くと、心身両面に惑影響が大きく本人のストレスはとても大きいものです。

身体面では、局所に悪臭やただれが起こり、感染症や膀胱炎にもかかりやすくなります。 また、精神的なダメージも大きく、羞恥心や失禁への恐怖から、外出や人づきあいをさけるようになり、ひどくなると鬱に陥る人も少なくありません。

尿もれには、いくつかの種類があります。くしゃみやセキをしたとき、笑ったとき、重い物を持ったときなど、おなかに力を入れたときに尿がもれてしまうものを「腹圧性腹圧性尿失禁女性に最も多く見られるタイプです。

腹圧性尿失禁は、尿道・膣・直腸などを支えている骨盤底筋という筋肉や、線維組織でできている骨盤髄膜などが衰えて、尿道などを締める力が低下することで起こります。 骨盤底筋や骨盤隔膜は、年齢とともに衰えていくため、腹圧性尿失禁は40代以降の女性に多く起こります。そのうち9割は、出産経験者です。

ちなみに、尿失禁のもう1つの代表的なタイプが「切迫性尿失禁」です。これは、尿意を感じて急いでトイレに向かっても、間に合わずにもれてしまうことが多いというものです。ただし、排尿は正常にできます。

では、腹圧性尿失禁は、なぜ女性に起こりやすいのでしょうか。その理由は、女性の体の構造にあります。 まず、女性は男性と比べて尿道が短い(男性は約2cm、女性は約4cm)うえ、尿道を締める働きのある前立腺もないため、尿もれが起こりやすいのです。

また、女性には尿道や膣口など「開く構造」をしている器官が多いため、骨盤底筋が男性より弱く、さらに、出産・加齢・肥満などによって、いっそう緩みやすくなるのです。

膀胱や尿道は、骨盤底筋によって支えられています。そのため、ふつうは少しくらいおなかに圧力がかかっても、膀胱などが下がらないように反射的に骨盤隔膜が締まるため、尿もれは起こりません。 ところが、骨盤底筋や骨盤隔膜が緩んでくると、膀胱などの内臓が下がります。そうなると、尿道を締めつける力が足りなくなって、尿が少しずつもれてくるのです。

腹圧性尿失禁になりやすいのは、出産・妊娠の経験者、ぜんそくやアレルギーでセキやくしゃみの多い人、立ち仕事や重い物を持ち上げる仕事をしている人、腰痛持ちでいつもコルセットをしている人、便秘で毎日いきむ人、肥満している人などです。

ヨガで骨盤底筋を鍛える

腹圧性尿失禁を改善するには、骨盤底筋を鍛えることが何よりも大切です。 泌尿器科や産婦人科でも、軽症から中等症の場合は、骨盤底筋を強化し、尿道を問じる機能を強める体操などが行われます 。そして、骨盤底筋を強化するには、ヨガが極めて有効です。実際、ヨガを行って尿もれを克服した人は、少なくありません。

ヨガには、いくつものボーズがあります。それらはほとんど例外なく、肛門を軽く閉じ、おなかを軽く引き締めて行います。 こうすることで、体の深い部分に意識が届き、気持ちがいい、効いているという感覚が得られるのです。 なかでも、尿もれなどのトラブルに最適なのが、これからご紆介する「骨盤若返りヨガ」です。これは、ヨガの「合蹠のポーズ」と呼ばれるものです。 合蹠のボーズは、骨盤内の血行をよくし、子宮や卵巣の機能を調整していく作用があります。 また、骨盤底筋や、恥骨尾骨筋(排尿時に尿を止めようとするときに使われる筋肉)を収縮・刺激するので、尿もれの改善にも優れた効果を発揮します。

合蹠のボーズのやり方は以下のとおりです。尿もれで悩んでいる人は、ぜひ行ってみてください。

合蹠のボーズ

  1. あおむけに寝てかかとを合わせ、ゆっくりと両ひざを開く。両膝が静かに開いていくのを感じながら肛門を軽く閉じ、自然な呼吸で20~30秒保つ。
  2. 両膝を閉じて腹部のほうに近づけ、両腕で抱え休息する。

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