血圧を下げるために怒りの感情を抑える
どんな人でもそうですが「カッ!」となったりいらいらすると血圧があがります。しかし、日頃から血圧がたかめの人にはさらに血圧が上昇することとなってしまいます。できるだけ「怒り」をコントロールするように日頃から意識します。
怒りについての詳細はこちら。
怒りは心身を害する危険な感情
心療内科においても身体的な症状にも、精神的なストレスが大きくかかわっているということを肌で感じています。そうした症状を心身症といいますが、高血圧や、それに伴う頭痛や肩こりなどは、顕著な例です。
そのため、心療内科の領域では、精神的な部分も考慮しながら治療に当たります。問診と心理テストの結果から心身症の背景には本人の 自覚にかかわりなく、「怒り」のストレスが隠れていると気がつきました。実際、高血圧の患者さんに対し、怒りをコントロールする方法を指導すると、治療効果がはるかに高まります。怒りとは、心身を害する危険な感情なのです。
「怒りを感じると、血圧が上がる」ということは、だれしも経験しているでしょう。ではその医学的なしくみです。怒りをコントロールする具体的な方法だと思います。体は、交感神経と副交感神経という、ふたつの自律神経によって制御されています。
文字どおり、意志によるコントロールができない、自律した神経であり、このふたつが拮抗しながら働くことで、健康状態は保たれています。
血圧に関連した話でいえば、交感神経が優位のときは、心拍数が増加し、血管が収縮して、血圧が上昇します。怒りを感じたとき、心臓がドキドキして、筋肉に力が入るのは、まさにこの状態です。
逆に、副交感神経が優位のときは、心拍数が減少し血管が拡張して、血圧が下がります。一般には、気持ちが 穏やかで、リラックスした状態といえます。そして、交感神経が優位になると、交感神経の末端と副腎髄質という場所から、カテコールアミンという神経伝達物質が分泌されます。心拍数と血圧を上げる張本人です。
しかも、カテコールアミンの血中濃度が上がると、ますます興奮しやすく、怒りっぽくなってしまいます。そのため、この状況がなかなか始まらないと、怒りはとめどなく続きます。いわば、体が戦闘態勢に入ったような状況です。 血圧の高い状態が続くと、血管は破れ硬くなってきます。それが、動脈硬化です。怒りによって生じた血圧の上昇は、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を招く、動脈硬化の進行を早めることにもなるのです。
怒りっぽい人はだいたいが運動不足
では、怒りによる高血圧の悪化、動脈硬化の進行を防ぐには、どうしたらよいのか。生活習慣の乱れや疲労、ストレスを避けることはいうまでもありま せんが、だれでも実行しやすいポイントです。
まずは、カテコールアミンの過剰な分泌を避けるため、副交感神経の働きを高めて、交感神経の働きをおさえることです。腹式呼吸をすると、副交感神経が働くので、それだけでも気持ちが落ち着いてきます。腹式呼吸とは、鼻から息を吸っておなかをふくらませ、口からゆっくりと吐き出す呼吸法です。
怒りを感じたら、ゆっくりと腹式呼吸を行います。怒りがだんだんと消えていくはずです。 カテコールアミンの分泌をへらすことに加え、その蓄積をおさえるのも大切です。体内に蓄積されたカテコールアミンは、怒りを招きやすくするのです。
それには、運動がいちばん。筋肉の緊張と精神の緊張は影響し合っているので、運動して筋肉を動かすと、体内のカテコールアミンが消費され、気持ちも落ち着いてきます。ふだんから運動を習慣づけていれば、怒りが生じるような場面に遭遇しても、感情をおさえやすくなるでしょう。
一般的に怒りやすい人は、たいてい運動不足だったというデータが確認されています。運動は、無理のない範囲のウォーキングやストレッチ程度でかまいません。
日常的な掃除や整理整頓もいいでしょう。体を動かすという運動効果に加え、きれいにした後の満足 感が、リラックス効果をもたらします。怒りという「心のゴミ」もきれいにしてくれるのです。
食事によって、セロトニンという物質を、体内にふやすのも効果的でしょう。セロトニンは、幸福感や安心感をもたらす神軽伝達物質で、心に安らぎをもたらします。セロトニンの主な原料となるのは、トリプトファンというアミノ酸で、肉類に多く含まれています。特に鶏の胸肉に多いので、習慣的に食べると効果的です。
そして、怒りを体から追い出すいちばんお勧めの方法は、「自律訓練法」です。これは、リラクゼーション効果が医学的に認められており、怒りに対する自己防衛法とでもいうべきものです。
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