手足を動かすこととしっかり噛むこと

長寿はとてもシンプルな生活・食習慣から

よく動き、しっかり噛む

ボケないことがとても大切

体も頭もしっかり使うこと

30年ほど前、沖縄で健康運動をしていた頃、当時103歳の女性の長寿者に何度かお目にかかったことがあります。

このおばあさんは100歳をすぎているというのに手足がしっかりとしていてよく歩き、よぼよぼなどしてはいません。毎日畑に出て働いておられる。これを人々に分けてあげるのが何よりも楽しく、因っている人がいると聞くと、どこまでも出かけていって助けてあげる。そうしているうちに、とうとうキリスト教の教会をひとつ建ててしまったという人です。

食事はとてもシンプルで、昔から腹八分目で食べすぎたことはなく、ても、お腹に聞いて腹八分目。大豆、みそ、ゴマ、豆腐、海草、おいしくてもまずく野菜が好物で、肉や魚はあればときおり少し食べるくらいだそうです。

沖縄豆腐は海水でつくるかたい豆腐で健康的ですが、この豆腐を毎日食べます。昔はサツマイモが主食でしたが、今は麦飯。しかし、玄米などのほうがもっと良いと言って、妙り米をつくり、大豆も妙ってまぜ、ゴマを入れたものをポリポリとかじっておられる。これが体に良いと言われます。

甘味は黒砂糖を少しと、黒砂糖でできた菓子少々。昔から甘いものはあまり食べないほうだったそうで、今でもあまり食べない。間食はまったくしない。もうこれが習慣になってしまったと、にこにこ笑っておられました。100歳をすぎても歯は丈夫で、妙り豆でも食べられる。まったく驚異的なおばあちゃんです。

人相は柔和そのもの、すばらしい福相でした。人のために働くことを楽しみ、苦労も喜びにかえていく生きかた。生きた努力の実りを見させていただきました。このおばあちゃんも、かたいものを食べることが大事であることを、100年の歴史の歩みの中で、体で学んでこられたようです。

手足を動かし、かたいものを噛む。これは脳につながっていて、噛むことによって脳細胞はよく活動します。だから脳がいつまでも若々しく、お元気でいられるのだなあと感動はつきませんでした。

おばあちゃんは「神様と先祖様のおかげで長生きさせてもらいました」と言われました。温かくいきいきとした体温が伝わってきて、大いに勇気づけられたことを覚えています。

お孫さんはは48歳で、当時の琉球政府社会教育課主事をしておられましたが、このおばあちゃんの生きざまを絶賛し、「愛の何たるかを教えられました。そして今、社会教育のために少しでもと思って私が働けるようになったのも、この祖母から学んだことが大きいのです」と言われました。

人相、手相、骨相などは、その人が生きてきた心の通りを表現します。自分で手の線を書いたのではない。自分でこのような人相になりたいと思ってもそうならない。自然が心の姿のままを人相、手相、骨相へと描き出してくれます。

このおばあちゃんの人相のすばらしさは、しみじみと生きることの尊さ、自然にそって生きることが何であるかを教えてくださいました。

このおばあちゃん、107歳で天寿をまっとうされ今はおられませんが、内からこみあげてくる迫力は、今もなお脈打って生き続け、私を励ましてくれるのです。

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