120歳になるおばあちゃんの生活から見えてくるもの
120歳になっても畑で働く
120歳という年齢だけでもスゴイのに
体をしっかり使って働いている姿
毎日歩いて畑まで歩く生活
次は120歳のカルメン・カマチョおばあちゃんに会うために家に行きましたら、弁当をもってすぐそこの畑に働きに行ったと言われ、あっちの畑だろうと言うので、20分くらいバスに乗って途中まで行き、また山路を歩いてその畑に行ってみましたがいません。それじゃそっちだと言うので、また15分ほどバスで行って、また20分ほど山路を歩いて、やっとめざすカルメンおばあちゃんに会うことができました。
それにしても、こんな距離を当たり前として毎日歩いて暮すこの土地の人々の感覚の鷹揚さに驚きました。まして、120歳のおばあちゃんが毎日歩いてこの畑に通うのです。畑では、娘さんと孫と4人でユカイモを掘ってひげ根をとる作業をしていました。
私も小柄ですが、私よりカルメンおばあちゃんはふたまわりくらい小さいのです。食べものを聞くと、自給自足でとれたものを食べると言います。肉も卵も牛乳も動物性のものはほとんどとらず、たまに町に出たときに買ってくるくらいだそうです。
薬草はよく使うし、お茶にしてよく飲むそうです。酒、たばこはやりません。ご主人は若い頃飲んだが早く亡くなって、いらっしゃらないそうです。病気はほとんどしたことがないそうです。若いとき肝臓を少し傷めたが薬草で治って以来、病気はしないそうです。
どうして長生きしたと思いますかと伺うと、神様が長生きさせてくださった。私はただ働くことが大好きで、土に親しんで楽しんで働いてきた。皆と仲良く、多くの楽しい友人知人がいる。前述のホセ・マリアおじいさんもそのひとりで、年上の兄のように親しみ、いろいろなことを教えられて、彼の言うように心明るく楽しく生きてきた。作業は裸足で、歩くのもできるだけ裸足で歩く。これは健康にいいからだそうです。
土の家に住み、土の上を直接はだしで歩く。これは毎日土療法をして、土のエネルギーを体に入れているのと同じことです。都会人の我々は、土療法、砂療法と言って首だけ出して砂にもぐっていることが、この生活からみるとまるでナンセンスに見えてきます。
朝早く太陽とともにおき、美しい空気を吸い、日没とともに休む。自然そのままの生活です。
こうして話をしているおばあちゃんの表情や雰囲気はやさしく温かく、本当にかわいらしいおばあちゃん、と抱きつきたい思いにさせられます。思わず手を出して握手しました。土で汚れていると尻ごみをしていましたが、汚れたその手はとても柔らかく、幼な子のようでした。顔は日焼けとしわで真黒でしわくちゃ、決して見ばえは良くありません。でも、体を通して中からふき出してくるやさしい柔らかい雰囲気は、120年の生きかたの積み上げだなあと思い感動しました。
年寄りの手はかたい。まして労働する手はかたくゴツゴツしていると思ったら、柔らかい手だったのには驚きました。
言葉は通じないのに、何か親しみを感じて、背中をなでさすり抱きかかえました。その背中もまた柔らかく温かいのです。年寄りの背中ではなく、やっぱり幼児のような背中でした。
私は、この方は本当にストレスがなく、自然のままに心温かく生きてきたのだなあと思い、大きな学びをさせていただきました。
怒り、イライラなど心に暗さがあったら筋肉も緊張するし、神経はくたびれ、細胞もかたくなり老化を早めます。しかし、この方は120年も気の遠くなるような年月を生きながら、どこにも緊張感がない。そして、このおばあちゃんのまわりには、娘さん、お孫さんがいて、温かくおばあちゃんを包んでいました。
ストレスと病気についてはこちら。