耳を温めることで改善する症状とその方法

耳を温めて不快症状を軽減・改善する

耳の疲れとれ視界もすっきりして血圧も安定

鍼灸師で、一般的に行われている鍼灸治療のほか、手指にあるツボを鍼などで刺激する手指鍼を取り入れた治療を行っています。 治療と並行して取り組んでいるのが、一般の人も手軽にできる体のセルフケア方法の研究や開発です。特に数年前から、耳介(耳ツボ)療法に関心を寄せ、一般の人向けの方法を模索してきました。

人間の体の表面には無数のツボがあり、体の特定の部分に、まるで全身の縮図のように、全身の臓器に対応するツボが集中している場所がいくつかあります。その代表例が、手のひらや足の裏、そして耳なのです。

耳介療法は、不調のある臓器と対応したツボや反射区と呼ばれる部位から周辺を、粒状の突起物や鍼などで刺激して、臓器の血流や機能を活性化して、健康な状態に導きます。しかし、耳のツボや反射区の位置はわかりづらく、一般の人が自分で行うのは困難です。

そこで、誰でも簡単に耳ツボを刺激できる方法として考案したのが、以「耳輪ゴム」です。耳輪ゴムは、耳にぐるりと幹ゴムを巻いて、耳を全体的に刺激する方法です。 首や肩のこり、頭痛、腰痛、眼精疲労、視力の低下、耳鳴り、高血圧、冷え症、便秘、体のだるさなど、さまざまな不調が改善したとの声が寄せられ、大変好評でした。

ただし、その人の耳の形によっては輪ゴムをうまく巻けないことがあったり、「耳に輪ゴムを巻くと痛い」という人もいたりしました。

そこで、私が新たに考案した方法が、使い捨てカイロで耳を温める「耳カイロ」です。耳輪ゴムは、巻いていた輪ゴムを外した瞬問、一気に耳の血流がアップします。カイロで耳を温めるだけでも、同様の血流アップ効果が見込めるのではないかと考えたのです。

低体温の方の体温が36度に上昇

実際にカイロを10分問試していただき、実行前と後で体の変化を調べました。すると、私の予想以上によい結果が得られたのです。「目の疲れが取れ、視界がスッキリ明るくなった」という人が複数おり、視力測定の数値が上がった人もいました。

36度以下の低体温だった人は、36度台に体温が上がりました。最大血圧が150mmHG台から130mmHG台に、その場で下がった人もいました。

さらに、続けて耳カイロを実行していただいた人からは、「片頭痛が消えた」「がんこな便秘が解消した」「冷え症が改善した」といった報告も寄せられました。片頭痛が解消したのは、耳が温まって血流がよくなったことで、東部の血行も改善したためと考えられます。

脳の血流が改善すれば、脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)の予防にも役立つかもしれません。耳カイロのやり方は、まずは、貼らないタイプのカイロに輪ゴムをかけて、それを耳の付け根に輪ゴムを軽くまいて温めます。カイロを当てる時間は10分程度です。

貼るタイプのカイロを使う場合は、カイロを手袋の手のひらに貼り付け、その部分を耳にあてるだけです。カイロを当てる時間は10分程度です。 耳はデコボコしているので、貼るタイプの使い捨てカイロだとすぐに外れてしまいます。貼らないタイプの小さいカイロで耳を包むようにして当てて、耳の付け根に輪ゴムを軽く巻いて留める方法が、やりやすいと思います。

カイロを当てる時問は、10分程度で十分です。耳がポカポカと温かくなつてきたら、カイロを外します。長時間、カイロを当てたままにしていると、低温ヤケドの恐れがあるので、注意します。

使い捨てカイロは10時間くらい温かさが持続するので、家族で順に使い回したり、手や足を温めたりするのに使うとよいでしょう。

耳カイロを初めて試した人のほとんどが、まず口にするのが「耳がポカポカと温まって、気持ちいい!」という言葉です。 「痛い!ー」という声が上がることの多い耳輪ゴムとの最大の違いは、この気持ちのよさ、リラックス効果だと思います。耳は露出している上、筋肉が薄く、細い血管が皮膚の表面近くを走っているため、体の中でも冷えやすい部分です。冬は特に、耳を冷やさないこと、耳を温めることが大切です。気持ちよく耳を温めて、健康にもよい耳カイロを、ぜひ毎日の習慣にしてください。

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