耳を温めることで改善する症状とその方法

耳を温めて不快症状を軽減・改善する

水毒を解消するには体を温めることで治る

人間の体は、約60%が水分といわれています。私たち人間にとって、生きていくために水分は欠かせません。しかし、この水分が、さまざまな不調の原因になることがあります。水分がうまく排泄されず体内にたまると、体が冷えて血流が悪くなるからです。東洋医学では、このように体内に余分な水分がたまった状態を「水毒」と呼びます。水滞はこちら漢方では水滞とも言います。

今回は、水毒が原因で生じた目や耳のトラブルを解消する方法として、耳の効率的な温め方をご紹介します。東洋医学では、突発性の耳鳴りやめまい、緑内障(眼圧が高くなって視野が欠けたり狭くなったりする病気)、ドライアイなどは、水毒によるものととらえます。

こう言うと、「体に水がたまり過ぎているのにドライアイになるのはおかしい」と思われる 人もいるでしょう。しかし、水分が体内で滞ると、目が本当に必要としている場所に水分が行き渡りません。その結果、目の乾いた感じ=ドライアイが生じるので水毒を解消するには、体を温めるのが一番。 体が温まれば縮こまっていた筋肉がゆるみ、血液やリンパ(体内の余分な水分や老廃物、毒素などを運び出す体液) の流れがよくなります。

余分な水分の排泄もスムーズになるのです。目や耳のトラブルを改善するには、耳を直接温めるとよいでしょう。 耳の奥には、浅側頭動脈と浅側頭静脈という、顔と頭皮に通じる大きな血管が走っています。さらに、耳の前には顔からのリンパが集まる耳下腺リンパ節が、耳の後ろには頭皮からのリンパが集まる耳介後リンパ節があります。 そのため、耳を温めれば血液とリンパの流れがすぐによくなるわけです。

耳鳴りやめまい、緑内障、ドライアイにお悩みの人は、ぜひ耳を温めてみてください。特に、耳に水が詰まったような感じがする耳鳴りには耳の温めが有効です

温めてから冷やすとさらに効果大

耳鼻科で完治が難しいと言われた耳鳴りが、漢方薬を服用しながら耳を温めて、3ヶ月で消えた人もいます。中高年によく見られる口の渇き感・ドライマウスにも、耳の温めはお勧め。ドライマウスもドライアイと同様、水分を必要としている場所に、十分に行き 渡らないことで起こります。

そのほか、目の下のクマや顔色の悪さ、顔のくすみ、乾燥などの改善も期待できるでしょう。また、長く習慣にすれば、頭皮の血行がよくなるため、髪に健康的なコシやハリ、ツヤが生まれると思われます。耳には、胃腸や腎臓などの働きを整えるツボもたくさん集まっています。耳を温めるのと同時に腹巻きなどでおなかを温めれば、便通も整うはずです。

耳の温め方ですが、まず、ホットタオルを用意します。タオルをお湯に浸して軽く絞り、手でどうにか持てる程度のやや熟めのホットタオル(45℃くらい)を作ります。水でぬらして絞ったタオルを、電子レンジで温めても構いません。 また、タオルの代わりにカイロなどを用いてもよいでしょう。

さらにもう1つ、冷たいタオルも用意します。こちらは氷水に浸したタオルを軽く絞ったものを使ってください。まず、耳にホットタオルを当てて3分問、耳を温めます。次に、冷たいタオルで30秒問、耳を冷やします。これを3回くり返したら終了です。

最後は、必ず冷たいタオルで終えてください。血管は温めると拡張し、冷やすと収縮します。これをくり返すと、ポンプ作用でよりスムー ズに血液が流れるのです。時問がないときは、ホットタオルで耳を3~5分ほど温めるだけでも構いません。耳は、1日に何回温めてもよいでしょう。気になる症状を改善したい場合は、朝晩2~3回温めることをお勧めします。

個人差はありますが、1ヶ月月ほどで、なんらかの変化を実感できるはずです。ホットタオルを使うときには、ヤケドをしないように気を付けましょう。

また、内耳炎など耳に炎症や傷がある人は避けてください。水の取り過ぎも、水毒を招く原因になります。近年は、美容や健康のために水をたくさん飲むのが大切、と考える人が多いようです。しかし、排泄がうまくできなければ、水分はたまる一方で、体が冷えます。気になる症状を改善したい人は、耳の温めと併せて水分を控えるようにすればより効果的です。

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