首を温めることで自律神経のバランスの調整

首を温めて不快症状を軽減・改善する

首を温めて不快症状を軽減・改善する

副交感神経の働きを上げることがポイント

「首を冷やすとカゼをひく」などといわれ、冬場は特に、首を温かくしておくことが大切だと考えられています。ネックウォーマーなどの着用もおすすめです。これは、自律神経の観点から見ても、正解です。首を温めることは、自律神経のバランスを撃えて体を健康に保つ上でも、きわめて重要なのです。

自律神経とは、自分の意思とは無関係に働く神経で、呼吸、心臓の拍動、体温、血圧、内臓の働きなど、生命活動をコントロールしています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、両者はいわばアクセルとブレーキのように、相反する働きをしています。

交感神経は朝から昼にかけて活性化し、交感神経が活性化すると、心拍数が上がり、血管が収縮して血圧も上昇。心身ともに緊張・興奮モードになるの で、活発に頭や体を動かすのに最適な状態になります。一方、くつろいでいるときや眠るときなど、リラックス状態をつくり出すのが副交感神経。副交感神経が活性化すると、心拍数が下がり、血管が広がって血流がよくなり、血圧も低下。胃腸の消化活動が活発になり、体の細胞や組織の再生・修復も盛んに行われます。

交感神経と副交感神経がバランスよく働くことによって、体の活動と休息のリズムが整い、健康が維持されているのです。ところが、現代人の多くは、「副交感神経の活動レベルが低 下している」という問題を抱えています。

昼問のストレスが強いと、交感神経のスイッチが入ったままになり、夜になっても副交感神経の働きが上がりにくくなってしまうのです。しかも、男性は30歳を過ぎたあたりから、女性は40歳を過ぎたあたりから、副交感神経の活動レベルが急激に下がることも分かっています。

副交感神経の働きが低下すると、体の修復や疲労回復が、スムーズに進まなくなります。その結果、血管の老化が進み、同めんえきhツよく時に免疫力(病気に対する抵抗力)も低下し、体は病気になりやすい状態になるのです。 したがって、普段から副交感神経の働きを上げることを、意識的に行うのが大切です。それは心身の健康を保ち、老化を防ぐ「最高の健康法」になるからです。

首には重要な神経や血管が集まっている

そのためのカギとなる場所が、首です。首を温めると副交感神経が活性化し、自律神経のバランスがよくなるのです。首には、心臓から脳へ血液を送る太い血管と、重要な神経がめい集まっています。なかでも「迷走神経」は、多くが副交感神経の線維からできており、ほぼ全身の内臓の機能をつかさどっています。

首が冷えたり、前かがみの悪い姿勢の癖などで首の筋肉がこて硬くなったりすると、血流が悪化します。すると迷走神経の働きも悪くなり、副交感神経の働きが低下します。

筋肉が緊張して血管が収縮した状態は交感神経が優位になり、体は緊張・興奮状態が続き、疲れがたまる一方です。しかし、首を温めると、頸動脈にある圧受容体という温度を感知するセンサーが迷走神経へ、血管を広げて副交感神経の働きを上げる指令を出します。

また、首の付け根には、交感神経が集まる場所があります。ここを温めると、交感神経の働きが鎮められ、こりや疲れが軽減するのです。これらの働きによって、首を温めると副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整います。首を温めることで得られる効果は、疲労回復、血圧の安定、胃腸の働きがよくなることによる便秘解消・美肌効果、むくみの改善、首・肩こりの軽減など、たくさんあります。副交感神経の働きが上がると、リンパ球も増えるので、風邪やインフルエンザなどの、ウィルスに対する抵抗力もアップします。

首を温める方法は、いろいろあります。蒸しタオルを首に当てたり、はるタイプの使い捨てカイロを利用するほか、筒状のネックウォーマーを利用するのもいいでしょう。

「疲れているな」と感じたときは、副交感神経の働きが低下しています。積極的に首を温めましょう。副交感神経が夜問にきちんと働くよう、夜は特に首を温めるのが効果的。就寝中は首を冷やさないことも大切です。なお、デスクワークなどで筋肉がこわばっている人は、首を温めるだけでは十分ではないことも考えられます。

首や肩をほぐすための運動を行い筋肉の緊張をほぐし、血流を改善して副交感神経を活性化します。首を温めることと併せて行うとより効果的です。

自律神経

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