お腹・腰を温めると便秘が解消
お腹・腰を温めると便秘が解消
おへそが冷えると女性ホルモンが低下する
日々、鍼灸や指圧の施術をしていると、おなか周りが冷え切っている人がとても多いことに気付かされます。服を着ていれば、温まっているのが当然のように思われる場所ですが、あらためて手を触れてみると、びっくりするくらい冷めたくなっていることもしばしば。こうした傾向は、とりわけ女性に顕著です。おなか周りで最も冷えやすいのは、へそ下で、へそ下は、東洋医学のツボが多く集中している場所です。
へそ下が冷えているということは、骨盤の内側にある小腸、大腸、女性であれば卵巣、子宮などの血流が悪くなっていることを意味します。この辺りの血流が悪くなると、細胞の活性化や老廃物の除去のペースがダウンし、女性ホルモンの分泌も少なくなってしまいます。結果として、腸のこわばりに よる便秘や婦人科系の疾患を引き起こしたり、あるいは日常的にカゼなどもひきやすくなったりするため、絶対に冷えを放置してはいけません。
ところで、へそ下の冷えとカゼがどうかかわつているのかと、疑問に思われる人も多いのではないでしょうか?そもそも、カゼは「腸のダメージ」によって引き起こされることがよくあります。腸内細菌には善玉菌と悪玉菌がありますが、それらのバランスは人体の免疫機能(病気に抵抗する働き)に影響を与えるといわれます。したがって、腸がダメージを受け、両者のバランスがくずれると、免疫力が低下するのです。
その結果としてもたらされるのがカゼであり、ひどい場合はより重篤な現代病を誘発することもありえます。実際、カゼをひきやすい人は、ほぼ例外なくへそ下が冷えていて、腸も弱いものです。そのような体質の人は、さらに事態が重くなる前に、冷えに対処すべきでしょう。話を戻しますが、へそ下の冷えを放置すると、女性ホルモンも減少しやすくなります。女性ホルモンを分泌する卵巣の機能 が、冷えによって低下するからです。
冷たいと感じるところにおく
女性ホルモンが減ると、生理不順になったり、肌が荒れたり、髪がパサパサになったり、イライラしたりする、といったつらい症状が現れがちです。
東洋医学では、ツボは温めることでも刺激できるとされていて、へそ下を温めれば多くのツボを刺激し、女性ホルモンの分泌を促すことができます。つまり、へそ下を温めることは、腸や卵巣、子宮の表面温度を上げ、血流をよくし、なおかつツボ押しにもなるというダブルの効果があるわけです。温める方法はいろいろと考えられますが、最も簡単なのは使い捨てカイロを使うことです。カイロを用意し、それを手ぬぐいや薄手のタオル、ハンカチなどでくるんでください。布でくるむのは、カイロの温熱保持、肌の表面の乾燥予防、そして低温ヤケドの予防のためです。
カイロを当てる位置は、へそ下をカバーしていれば、どこでも構いません。触ってみて、なんとなく冷たいと感じるところに当てればOKです。布でくるんでいれば低温ヤケドの恐れはまずないので、好きなタイミングで長時問当てていても問題ないでしょう。
へそ下を温めると、まず骨盤がゆるみ、だんだん血流がよくなつてきます。すると、体が自ふくこう然にゆったりして、体内の副交感神経(心身をリラックスさせる神経)が優位になり、代謝がスムーズに行われるようになります。
継続的に温めていれば、常に基礎代謝(安静時に消費するエネルギー) がよくなるので、健康を維持できるばかりでなく、やせやすい体質に生まれ変われる可能性も高いでしょう。やってみると、風邪ははひきにくいですし、便秘などの症状に悩まされることもありません。これからの季節は、一年の中でも特に体が冷えやすくなるときです。へそ下を温めて、全身ポカポカ、免疫力を高めて病気と無縁の冬を過ごしましょう